die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第2章 episode.2
「あ、あの、私これからこちらでお世話になります、小森マイって言います…」
尻餅をついたまま一歩後ろに下がると彼も一歩近づいてくる。
「ふぅ〜ん、マイちゃんかぁ。君が、シュウとレイジの言ってた、お客さんってやつなのかな?」
ニコニコしてるんだけど、なんだかちょっと怖いよ…。
「はい、妹のユイも一緒で…。よろしくお願いします」
努めて冷静を装い答える。
な、なんとか離れないと。
「な〜んかさぁ、すっごぉ〜くいい匂いがして、気になって気になって、ボク部屋の前で待ってたんだよねぇ〜」
「…?匂い…?」
そう言った瞬間、彼は私の首筋に鼻を寄せていた。
早業過ぎて呆気に取られる。
「ん〜。すご〜くいい匂い♪」
突然の事に私は床に後ろ手をついたまま動けなくなってしまう。
「ね〜ぇ?マイちゃん?このままボクと、気持ちいい事、しよ?」
彼の左腕で頭を抱くように固定され、私の左耳のそばでささやいてくる。