die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第13章 episode.13
そう言って再び唇を押さえ付けられると、舌が催促するように唇を割り入ってきた。
「っ…んぅ」
初めての深い口付けが頭の奥を痺れさせる。
二人の吐息が混ざり合って全て溶けてしまいそう。
このまま、私は溶けてなくなってしまえたらいいのに—。
「…っ…!」
突如として舌に痛みが走り、反射的に身を引いてしまう。
じわりと口の中に血の味が広がる。
「血の…匂い…。
はぁっ…」
レイジさんは苦しそうにしてる。
「レイジさん、大丈…」
「あ、貴女は少し離れて下さい…」
「え…?でも…」
そうしている間にも口の中が液体でいっぱいになってきた。
「口の中、切れたのでしょう?
見せてみなさい」
口を閉じたまま首を横に振る。
レイジさんは、まだ苦しそうな顔をしながら聞いてくれるけれど、口の中に溢れてきっと汚いから見せられない。
かと言って飲み込むのもためらわれる。
今すぐに部屋を出て、バスルームに駆け込んで吐き出すしかない。
頭の中で、そう考えを巡らせていると、思考に割り込むように強く腕を引かれた。
「はぁ…本当に…貴女は私を惑わせる…」
レイジさんは迷いを断ち切るように再び口付けてきた。