die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第13章 episode.13
「そんな事は…」
「だけど…もし嫌われてしまったとしても、今はこうしてたいです、ごめんなさい…」
ぎゅうとしがみ付くと、身体が密着して触れた部分が熱くなる。
「はぁ…困りましたね」
レイジさんの腕が背中に回されたのを感じ、胸の奥が締め付けられる。
「マイさん…」
名前を呼ばれて顔をあげると、手が頰に触れる。
「欲望に振り回されて行動するのは感心しません。
…しかし…素直に貴女が私を求めてくれると言うのは、心地良く感じます…」
唇が耳に落ち、頰に触れてから唇を塞いだ。
優しくなぞられて、急激に体温が上昇する。
今はこの幸せにひとときでも浸っていたい。
「…これで、満足して頂けましたか?」
わざと言っているのか、本当にそう聞いているのか…。
目の前の瞳を見ても、判断できない。
「…もう少し…だけ」
「ふっ。
顔、真っ赤ですよ…。
貴女は、私の前でだけ、欲望に素直である事を許します」
その言葉にまた顔が熱くなるのを感じたのと、再び唇が塞がれたのは同時だった。
息が、苦しくなるのは酸素が足りないだけじゃない。
胸の奥のチリチリとした痛みが、スムーズな呼吸を邪魔してる。
「口を…開けて…」