die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第2章 episode.2
「?…寝てる…?」
座っていたのは男の子で、寝ちゃってるみたい。
長く続く左右の廊下をキョロキョロと見渡したけれど、しんと静まり返ってる。
起こした方がいいのかな…?
そのままそっとしといた方がいいのかな…。
なるべく音を立てない様にそっとドアを閉める。
どうするのが良いのか思案しながら、同じ目線に座って顔をのぞいてみる。
昨日兄弟を紹介しますってレイジさんが言っていたし、その兄弟さんかな。
片膝を立てて目を閉じている。
白くて綺麗な肌…。
長いまつげだな…。
つい見とれてしまうほど端正で吸い込まれそうになる。
「本当に綺麗…」
独り言が口をついて出てくる。
「そ〜お?」
その時ぱっと目が開き、至近距離で目が合ってしまう。
「わっ!ごめんなさい」
「んふっ。…ね〜ぇ?今、ボクの事、綺麗だって言ったの?」
びっくりして尻餅をついてしまった私に、手と膝をついて近付いて来る。
今まで寝ていたとは思えない…。
もしかしたら起きていたのかもしれない…。