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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第13章 episode.13


後ろから耳元で聞こえる声に、不意に縮まった距離を感じて身動ぐ。


「わ、私、重いですよ…。
離してください」


「フッ。
貴女…何度私に抱き上げられたかお忘れですか?
重くはないですよ。
…暴れないで」


きゅうっと身体を抱き締められて、私も大人しくした。


そっか、そうだよね…。


ここに初めて来たあの日も…部屋まで運んでくれたのはレイジさんだった。


初日からいきなりそんなお世話になるなんて、仕方なかったとは言え、今思うと恥ずかしい。


「食器、届いたんです。
驚きました。
…二組ずつ入っていて」


お腹に回された手に触れると、もう片方の手で包み込まれた。


「ふふ。言ったでしょう?
揃ってこそ、テーブルの上で完成するのです。
貴女は一人で食事されるつもりですか?」


「あ、くすぐったいです…!ひゃっ」


言いながらうなじにキスするなんて、反則だよ…。


見えないからなのか、過剰な程、少しかかる息にも敏感になってしまう。


「勝手に部屋に入り、寝顔を盗み見るなど…。
お仕置きが必要なようですね?」


耳に軽く口付けた後、唇が首筋を伝っていく。


「っ!…」


ぞくぞくと背中が悲鳴を上げて、つい漏れそうになった声を我慢した。
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