die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第13章 episode.13
賑やかなティータイムを過ごして片付けた後、自分の部屋に戻る。
スーツケースを持って出たら、きっと邪魔になるだろう。
荷物は最低限にしないと。
肩掛けの、少し大きめのバッグに少しの着替えと日用品を入れた。
あまり、持っていけないけれど、仕方ない。
皆が部屋に戻って、少し経ったよね。
レイジさんの部屋に行ってみよう…。
部屋を出て廊下を踏みしめるように歩く。
この屋敷に来てから、色んな事があった。
この廊下も、バルコニーも、キッチン、玄関、リビング…。
どの場所にも思い出がある。
そして、この部屋にも…。
あれ?
レイジさんの部屋をノックをしようとした時、ドアが少しだけ開いている事に気が付いた。
そんな事は一度だって無かったのに、珍しいな…。
「レイジさん…?」
ドアから部屋の中をキョロキョロと見回してみる。
「あ…」
もしかして…寝ちゃってる?
昨日は買い物の後、私が眠ってからも作業してたみたいだもんね。
「…入りますよ…?」
そっと部屋に入らせてもらって、ゆっくり近づいてみる。
椅子でうたた寝するレイジさんの姿を見ていたら、起こす気にはなれなくて、椅子の前にしゃがみ込んだ。