die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第12章 episode.12
「レイジさん…!」
思わず胸に抱き着いていた。
「おやおや…こんな所で。
困りましたね…。
離れがたくなってしまいました」
呆れたような口調とは裏腹に、優しく抱き締め返してくれた。
「もし良ければ、私の部屋に来ませんか?」
「でも…」
私は知っていた。
毎日のように何かの研究をしている姿を。
「私レイジさんの邪魔はしたくないんです。
部屋に私が居たら、邪魔になりませんか?」
私が問うと、ご心配には及びませんとレイジさんは私を部屋へと連れて行った。
「あっれ〜、スバルくん?
こんなとこで何やってんのさ?」
階段の途中で立ち尽くすスバルくんの視線の先を追うと、レイジとマイちゃんの姿が見えた。
レイジがこっちに気付かないなんて、珍しい事もあるもんだね。
余程、油断してると見た。
スバルくんは…、何だかショックでも受けてるのかな?
は〜ん、なるほどね。
「スバルく〜ん…、残念だったね。
あ、アヤトくん、いいところに」
「何だよライト。
何かおもしれーもんでも…お!!
マジかよ…チチアリがシチサンメガネと…」
「わわ…お姉ちゃん達…。
ちょっと!みんな見てちゃダメだよ!解散解散!」
「しっ!静かにしねぇと見つかんぞ!」
「…何話してるんだろ。
聞こえないね」
こそこそと話す三人と立ち尽くす一人を尻目にシュウが通りかかる。
「…何やってんだあいつら。
…あぁ、そう言う事か。」
状況を見て悟ったようだ。
バルコニーからは、カナトの歌がかすかに聞こえていた。