die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第12章 episode.12
「中途半端な気持ちでは、ないです…」
「ふふ、ならばよろしいですね。
支払いをしてきますから、ちょっと待っていてください」
レジに向かう後姿を見送る。
とは言うものの…。
本当にいいのかな…。
カップとソーサーにプレートまで…。
前から気に入ってたやつだから手元に置けるのは単純に嬉しいけど…。
甘えちゃってもいいのかな…。
あ!?
実は後から、交換条件でとんでもない要求されたりとか…!?
いや…ライトくんじゃあるまいし、それは無いか…。
レイジさんがこんなに甘い人だなんて、最初は全然思わなかったな。
目に入ったアクセサリーを手に取ってみる。
さっきの食器と同じテーマカラーの水色とゴールドの薔薇を象ったチャームの付いたブレスレット。
ふふ、可愛いな…。
そうだ、支払いが終わったらすぐに出られるように、お店の入り口付近まで移動して、待っていよう。
何かお礼に出来る事はあるかな…。
私には血をあげる事と、家事を頑張るくらいしか無いよね…。
喧騒の中、ぼんやり考えにふけっていると、引き戻す声がした。
「行きますよ」
「あ、はい。
…あれ、品物は…」