die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第12章 episode.12
「え…っと…。
でも…」
「何をうろたえているのです?
これは家計の日用品として計算出来ますから、心配しなくとも良いですよ」
「えっ?!
家のお金から…?
そんな!申し訳ないです」
「遠慮は無用ですよ。
これもお揃いのプレートなのでは?」
隣にディスプレイしてあった、同じシリーズのお皿も入れようとする。
「そ、そうですけど…。
そんな悪いです」
身体の前でブンブンと手を振る私に、心底不思議そうな表情でこちらを振り返る。
「…?何故です?
こう言うものは、テーブルの上で揃うからこそ完成するのです。
中途半端は嫌いですよ」
「で、でも居候の身ですし…そんな贅沢は…」
「……おや。
まだそんな事を気にしていたのですか?
まぁ…そうですね。
家の中の事をして貰っていますし、報酬みたいなものだと思われてはいかがですか?」
「そんな、私報酬を貰えるほどじゃ…」
「ふふ…。
それに、もう貴女は私のものなのではないのですか?」
「…!」
小声で囁かれて顔が熱くなる。
「貴女は、中途半端な気持ちで私のものになったとは思いませんでしたが…私の思い違いですか?」
もう…。
私が動揺する事を絶対分かってて言ってるよね…。