die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第11章 episode.11
髪を撫でると、笑顔をこぼし貴女からも私に抱き付いて来てくれる。
何故そんな無防備な笑顔で…。
私は貴女のこの真っ直ぐな瞳が…。
まぶたにキスを落とし、瞳が閉じられた隙に、柔らかな唇をそっとふさぐ。
温かく、そして甘い…。
その感触に身を委ねていると甘い声が漏れ聞こえ、私の耳をくすぐる。
貴女の、良い血の香りがしてくる。
欲望と言うのは恐ろしい—。
次から次へと求める先に、何があるというのか…。
頭では分かっていても、また牙が疼いてきてしまった…。
「はぁ…。
すみません…。
最近の私は少しおかしいのです。
貴女とこうして居ると、抑えられなくなりそうになる」
口付けるのを止めて彼女の肩口で訴える。
何とか、ここで彼女を帰さなければ止められなくなってしまう。
「え…?
どうしておかしいだなんて…。
私…レイジさんにこうされて…嬉しいと思ってます…」
抱き締める腕を緩めて顔を覗くと顔が真っ赤になった彼女がハッとしたようにうつむいた。