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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第11章 episode.11


「何となくなんですけど…。
この前の満月の夜にバルコニーから見えたのも、同じ影だったんじゃないのかなって気がします。
何だか、怖さが似てたと言うか」


貴女は時々おかしな事を言う。


「ほぅ…?
貴女はそんな実体のないものが怖いんですか?
ヴァンパイアである私のこんなに近くに居るのに?」


「それは…そう…なんですけど。
何かよく分からないからこそ、怖いんじゃないでしょうか。
それに、何だかあまり良くない霊に感じました」


「そうですか。
わかりました。
また何かあったら私に報告するように」


私が椅子から立ち上がると彼女も立ち上がる。


「はい。
…あ、じゃあ私失礼しますね。
お休みなさい」


挨拶してから、ドアに触れようとしていたので呼び止めた。


「待ちなさい。
まだ行ってもいいとは言っていません」


「でも…学校帰りで疲れてるんじゃ?
寝る時間きちゃいますよ?」


確かに…そうかもしれない。
私にはやるべき事が沢山ある…。
しかし…。


「こちらへ来なさい」


「あっ!」


細い手首を引くと、簡単に腕の中に収まる。
ほんのりと温かい体温が心地良い。


このぬくもりに…少し触れさせて欲しい。
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