die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第10章 episode.10
「そんなに鼓動を早くしては、どんどん溢れてしまいますよ…。
仕方のない人ですね」
零れ落ちる血を舐め取られる度に甘い声が漏れてしまう。
「これは兄弟達を誘惑した貴女への罰なのですよ。
それなのにそんなに甘い声を出して…」
「だって、レイジさん…が…」
与えられる痛みに涙が勝手に滲んでくる。
「今夜は一晩中、罰を受けて貰いますよ…」
視界がぼやけて、それが涙のせいなのか、血を吸われたからなのか、分からなかったけれど、もうどちらでも良いと思った。
「…ん…」
目を開ける。
…身体が動かない…。
力が…入らない。
「目覚めましたか?」
「…レイジさん…」
横になったままの私のそばにレイジさんが座ると髪を撫でてくれた。
優しい重みに幸せを感じる…。
「まだ、眠るつもりですか?」
「…ん…」
「フッ。
まぁ、無理もないですね。
昨夜は一晩中あんな声を出していたのですから」
「…っ!
〜〜言わないでください…」
レイジさんは、恥ずかしくなって顔を覆った私の両手を掴むとベッドに押さえつけた。