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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第10章 episode.10


私を部屋に引き入れると、繋がれていた手が離れた。


部屋はダウンライトだけが付いていて薄暗いけれど、さっきまで夜空の下に居たせいか目は慣れている。


後ろで鍵を閉める音がした。


「!?…レイジさん、どうして鍵なんか…」


慌てて振り返ると、レイジさんはこちらへ歩み寄ってくる。


「私はこれまでに忠告した筈ですが。
まさか…、忘れたとは言わせませんよ?」


「…満月の夜は気をつけろ…って事ですか?」


「フッ。
分かっているならどうして貴女はそう簡単に近づいたりするのです」


「そ、それは…」


私は勢いに押されてゆっくりと後ずさる。


「もしも…。
私は吸血しないなどと思っているのなら、勘違いも甚だしい」


「…っ!」


「おや、図星ですか。
フッ。貴女も意外と愚か者なのですね」


レイジさんの手が頬に触れる。


「や、やめて、くださ…」


「貴女は自分で誘っている割に、そうやって拒否してみせるのですね。
他の兄弟達にもそんな顔をして誘惑していたんですか?」


「っ?!誘惑なんて…そんな訳ないです!」


「もう言い訳は聞きたくありません。
誘惑しているのですよ、貴女は…」


「そんな…」
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