die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第9章 episode.9
「……。」
あ…邪魔しちゃったかな。
冷たい瞳で見られちゃった。
「仕方ありませんね…。
貴女もしますか?」
「…えっ?
今、なんて…」
「…はぁ。
何度も同じ事を言わせないで下さい。
トッピングを一緒にしますかと聞いています」
「はい…!したいです」
レイジさんは呆れ顔をしているけれど、思わず笑顔になっちゃう。
「やれやれ…。
こんな事でそんなに浮かれるなど…。
貴女はよく分からない生き物ですね」
レイジさんはそうため息をつきながら、イチゴを手に取りナイフを動かすと、手早く飾り切りにした。
「わ!…凄く綺麗…」
目の前に次々と小さなイチゴの薔薇が完成していく。
それを壊さないように私が白いクリームの上に乗せていき、薔薇の花でいっぱいになった隙間にベリーと三日月型に切ったオレンジを飾った。
ケーキを仕上げると冷蔵庫にしまい、また料理に戻る。
スープにサラダ、メインの肉料理に魚料理、と進めていった。
月に一度開かれていると言う晩餐に、ユイと私はその日初めて参加した。
レイジさんの料理はどれも美味しくて、みんなもわいわいと賑やかで楽しかった。