第1章 阿吽と私
『お疲れ、着替えてくる』
岩泉「おう、門で待ってるからな」
ハジメちゃんとモップをかけ終わったあと、私は電気の確認をしてから女子更衣室まで向かった。
まだ外部活の人たちが練習しているみたいだ。
ロッカーの鍵を開けて着替えをはじめた。
明後日から新1年が来る。
マネージャーとしては女の子のマネが欲しいけど、徹に止められているので悩んでいた。
人数も増えるし、ドリンク作るのも大変だ…
あとユニフォームとジャージのサイズも測らないと…
『…よし、頑張ろ』
気合を入れて、スカートについてる誇りを叩いてから小走りで門へ向かう途中、ふと視界に入った人間に思わず止まった。
あぁ、そう言えばそうだった。
忘れていたわけじゃないけど…
『えっと…』
?「ごめん、今いいかな…?」
クラスの人だ。
放課後声をかけられてたんだった。
門に2人を待たせているし、急がなきゃいけない。
『うん』
?「俺、1年からずっと気になってて…関係が取れたら、話しかけようと思ってて…」
なんて話し始める彼に、私は面倒くさいなと思いつつも話に耳を傾けた。
暗いけどわかる彼の緊張。
長い長い話が終わった途端に告白される。
少しの間が大切。
考えているように見せかけておけば相手も諦めがつくだろう。
『ごめん、今部活で精一杯で…気持ちはありがたいけど…ゴメンナサイ』
?「そう…だよね…じゃ、じゃあ友達から…とかは?」
『それなら』
?「マジ!?じゃあ聖って呼んでも「それはダメ」え…?」
不意に彼の声が聞いたとこのある声とかぶる。
あぁ、またまた面倒なことになった。
振り向けば不機嫌そうな徹。
ハジメちゃんはその後でパンを食べていた。
…ハァ、面倒くさ…