第1章 阿吽と私
岩泉「聖?」
放課後。
私は担任に頼まれたノートを手に持ってぼんやりとしながら教室前の廊下を歩いていた。
目の前に突然現れたハジメちゃんに私はニンマリと笑う。
手伝ってもらおう。
『ハジメちゃん!!ちょうど良かった!』
岩泉「…雑用はやんねーよ」
『なっ…別にいいじゃん手伝ってくれるぐらい…!暇でしょー?』
岩泉「ハァ…たく、ほら貸せ、持つから」
ハジメちゃんは私の手からノートを4分の3ほど持ってくれて、随分軽くなった手に私は気が楽になった。
隣に歩きながらあくびをしてる彼を横目に、なんだか口元が緩む。
岩泉「どこまで運ぶんだこれ」
『職員室』
岩泉「なんで雑用やってんだよ」
『松川が黒板消しててその隣でベラベラ話してたら先生に捕まった』
岩泉「すぐ部活来いって言ったろ」
ギっと睨まれて私は、松川待ってたのー!と声をはる。
ハジメちゃんの顔は面倒くさそうな顔をしているが、相変わらずそんな顔しつつも手伝ってくれるので性格はいいほうなのだ。
むしろ徹の方がひねくれモンだよ。
『ハジメちゃんこそ何してんの部活はー?』
岩泉「日直」
『あーなるほど』
岩泉「が、終わってお前見えたから来た、前向いてないと何かにぶつかりそうだったしな」
『私見えたってハジメちゃんどこで見てたのよ、嘘でしょ』
岩泉「…松川が言ってたんだよ!!」
あー、松川かー。と笑いながら階段を降りていれば、急に後ろから走る音がして、私は振り返る。
そこにはドアップの徹。
そして
『フゲッ!』
岩泉「ンガッ」
及川「ひどいよ二人共〜!!!俺を置いて一緒にいるなんて!」
パワー5の男に突進されて転ばないヤツなどいない。