第4章 合宿
入畑「及川、岩泉ちょっといいか」
帰宅時間、ハジメちゃんと徹は監督に呼び出されたので今日は一人で帰ることになりそうだ。
時刻は22時。
昨日より早く帰れるのはいい事だ。
カバンを持って1年に食堂の鍵締めを頼んで靴を履いていれば、後ろから声がした。
松川「聖」
暗闇から出てきたのは長身。
靴を履く私を覗き込むように現れた彼に心臓が止まりそうになりつつも平常心を保つ。
『ま、松川か』
松川「目丸くなってるよ」
『驚いたんだよ』
お見送り?と問えば、及川達いないから泣いてるんじゃないかと思って。とニヤニヤした顔で言われる。
『別に大丈夫なんだけど』
松川「うちのマネージャーに何かあると大変だしね?」
花巻「そうそう」
『びっ…びっくりした』
急に現れた花巻に、再び心臓が止まりそうになる。
2人はピースをして靴を履き替えた。
花巻「そういや俺聖んち行ったことねえかも」
松川「岩泉達から話はよく聞くけどな」
『え、何の話気になるんだけど…』
門まで見送ってくれるかと思いきや家までついてきてくれるようで、優しすぎる2人に異変を覚えつつも3人で並んで帰る。
花巻がそういやさ、と私の方を向くので、ん?と返せばグッと顔が近づく。
思わず少し後ろに下がると松川とぶつかり挟まれた。
近い。
『な、なに「いつ俺達の事名前で読んでくれんの?って思って」はい?』
ニンマリ笑った顔で首を傾げる花巻に、私は視線を泳がせれば、松川が私の耳元まで屈む。
松川「俺、一静って名前だけど?」
花巻「俺は貴広くんです」
『へ、へぇー…』
松川「何、及川達にダメって言われてんの?」
『い、言われてないけど』
んー?と楽しそうにニヤニヤしてる2人の顔がさらに近づく。
うわ、2人ともいい匂い。
風呂入ったのか…