第3章 王様と私
『…ハァ』
あれから数日が経つ。
あの日の夜、徹は誰にも言わずにいてくれたが、松川と花巻の視線が痛い。
あのクソ徹…
『な、なに…』
松川「いーえなんでも?」
花巻「ございませえんけど?」
『絶対なんかあるでしょ、言え!』
放課後、二人に出会ってギャーギャーと言い合いをしていれば、ボスッと肩に重みを感じる。
岩泉「おー、早く帰っぞ」
『…っハジ、メちゃん』
耳元から聞こえる声はハジメちゃんで。
思わず変な声が出そうだったのは秘密。
今日は徹は月曜なので松川曰く、彼女(偽り)と出かけていったらしい。
部活帰り以外に3人で帰るのは久しぶりで新鮮だな…と実感していれば、早く行くぞ〜と松川と花巻の声が前からして、ハジメちゃんが私からパッと離れ次は手を掴まれた。
…こいつ天然すきやしないか…
自分が赤くなるのを感じる。
松川は私の顔を見てから、呆れたようにハジメちゃんの腕を掴んだ
松川「…ほらほら、岩泉手放してやんなさいね」
花巻「?」
岩泉「あ、悪い」
『うん、大丈夫』
パッと手が離れて、私は松川に視線を送った。
松川はピースをかましている。
ハジメちゃんは花巻とゲラゲラ笑いながら先を歩いていて、松川はこっそり私に一言。
松川「大変だねぇ、好かれるって言うのも」
『バカにしてるでしょ』
松川「いやいや、全く…つか今日暇?俺、食べたいもんあるんだよね」
『別にいいけど…』
松川が提案してくるのは珍しい。
家に帰ってもやることもないし、一緒に行くよ。と言えば、大声で二人を止める松川。
話をすれば二人も行くらしい。
松川「俺と二人じゃなくて残念だったね」
『別に残念なんて思ってないから!』
松川「ふうーん、あっそこ左だから、右じゃないから…ちょ、岩泉!!!」
方向音痴が前にいると大変だよ