第3章 王様と私
及川「聖ちゃんってば〜お茶目なんだから」
『うるさい』
ギャーギャー騒いでいれば、飛雄がパシッと私の手を取った。
行動に目を丸める私。
そして目を細めて飛雄を睨む徹。
…ヤバイな
及川「その手放せ」
影山「いやです。」
『と、飛雄落ち着い「俺、諦めませんから」…え?』
その目は真剣で、徹も口を尖らせただ見ていた。
手をつかむ力がこもってきている。
緊張しているのが伝わってきて、私は思わず視線を逸らしてしまった。
影山「全国」
全国かーい。
なんて虚しい私のツッコミは彼には届かず、徹は深くため息をついて、手放せ。とだけ再び言った。
『…うちも負けないから』
及川「そうだそうだ、お前らなんてケチョンケチョンにしてやるからな、覚悟しておけよ」
影山「…はい」
パッと手を離されて、私は安心した。
が
『ちょっ、飛雄…!?』
再び捕まれ、グイッと下に引っ張られる。
その反動で少し飛雄に近づく形になった。
影山「聖さんのことも、諦めませんから」
耳打ちのように言われ、私は思わず顔が赤くなるのを感じる。
近い近い近い。
グンッと今度は逆の方向へ引っ張られる。
徹が急に私を引っ張り私を抱き締めるように隠した。
それから私の頭上でビリビリと痛い雰囲気を出す2人。
及川「調子こくなよガキ」
影山「こいてません…それじゃ…失礼します。」
及川「…フン」
歩いていく音が遠ざかり、私は徹の腹を叩いて開放してもらう。
及川「だ、大丈夫?」
『…う、ん…』
及川「!!!岩ちゃん!聖ちゃんが!!!岩ちゃー!!!」
『うっ、うっさいから!!静かにして!!』
私の顔を見て叫ぶ徹。
そのせいで自分がどんな顔をしているのかわかってしまう自分がいた。