第3章 王様と私
金田一と矢巾を撤退させ、目の前を歩いていく烏野軍団に私はどう止めていいかわからないまま数秒が立つ。
目の前でわちゃわちゃしながら向かっている方向はグラウンドだよ。
早く止めようと大声を出すため息をすった。
それから
『と、飛雄ッッッッッ!!!!!』
きっと今月で一番の大声だと思う。
烏野!!とかいうよりはマシだったはず。
なんて自分に自信をつけてた。
私の声に反応し、立ち止まり振り向いた黒い集団の方へ駆け寄る。
名前を呼ばれた張本人は私の顔を見て少し目を丸めた。
影山「聖、さ…ひ、久しぶり…デス」
『久しぶりー!…じゃ、なくて…無駄に広くてすみません…そっちはグラウンドなんで、体育館まで案内しますね』
?「す、すみません、ありがとうございます!」
主将さんらしい人はいい笑顔を見せて頭を下げた。
…優しそうだ。
後ろの方で、マネージャーかな?と話している声がして、挨拶した方がいいのか…と思っていれば、
?「すみません、なんかうちのがうるさくて…」
と再び話しかけてくる黒髪の男の人。
身長は高めではないけど、なんか大きい。
私は顔を見てニッコリと笑い
『いえ、全然』
とだけ言った。
何か言いたげな顔をしている彼は、思い切ったように
?「あの…影山とは…どういう関係で…」
と、問いかけてきた瞬間にピタリと後ろのざわめきが消えた。
あと少しで着くんだけど…
歩き続ける足は止めずにいれば
影山「中学が一緒で」
?「あぁ、なるほど」
なんて解決の声がした。
何も言わなかったのはちょっとまずかったかもしれない…
後悔をしつつも、私は第三体育館まで案内をした。
『ここが体育館です、えっと…あっちの方に荷物置いてもらって、スペースがとってあるのでそこでアップを済ませてください…今日はよろしくお願いします!』
?「ありがとうございました!!ほら、お前らも!」
「「したー!!!」」
元気でよろしい。