第1章 Ⅰ
『兄貴が迎えにきたらだめなワケ?』
あぁ最悪だ。
【助けにきてくれて有難う】なんて到底思えない...
こんなトコロ見られて恥ずかしい。
涙が出そうになるのをグッと堪える
私を取り囲んでいた子達が一斉にシュウに注目する。
『ねぇ?アンタなにしてんの?』
私の髪を掴んでいる右手、左手には鋏を持つ子にシュウは目を細め視線を注ぐ。
女の子が言い訳を始めると同時に、少しだけ緩む手。
こんな姿を家族には見られたくなくて私は────
鋏を奪い、掴まれている髪の束を自ら切った。
急いで立ち上がりシュウの脇を摺り抜ける・・・筈だったのに抱きとめられる。
シュウの優しい香りに気が緩む。
全身の力が抜ける感じがした...
『はぁ。・・・なにしてんの?って聞いてるんだけど...』
『それより・・・・・ライト。こういうのスキだろ?』
遠のく意識の中でシュウとライトくんの声がする。
『キライじゃないよ~?』
『さぁ!にこんなことさせた悪い子は誰かな~』
『んふ♡言わないだー?じゃあ・・・どうなっても文句言うなよ?』
ライトくん・・・怒っ・・・て、る。
短い悲鳴が聴こえた瞬間身体が浮いた気がしたけど、瞼を開ける気力は無かった。
『ったく...。』
私を抱きしめる腕が強くなる
【ごめんなさい】
この一言を口にする前に私の意識は途切れた。
私は・・・私が、逆巻でいる限り終らない。