第6章 Ⅵ
「・・・んっ・・?」
お腹がくすぐったくて目を覚ました。
朧気な頭で寝る前の事を思い出し、隣に居る筈の彼を探す
「シンくん?」
「どこ・・っ」
『やっと起きたの?』
その声は下から聞こえた。
それと同時にお腹がくすぐったい
「ちょっとシンくん!」
「なにし・・ふッ」
『あまりにも起きないもんだから』
『あぁ・・・でも、
のここキライじゃないよ。』
と、おへそにキスをするシンくん。
「こらッ・・シンくん!」
もぞもぞと這い上がってくるシンくんと目が合えば、鮮明に思い出す
私は、慌てて目を逸らした。
『ククッ・・・顔紅いけど
ナニ考えてるのかな?』
からかうように問い掛けられ余計顔に、熱が集まった。
「・・何も。」
『ふーん。じゃあ』
『おはようの挨拶しなきゃだよネ。』
「おは────ッ!!」
シンくんの唇が首に触れたのが分かる
「シンくん!そうやッ・・て」
私の反応を楽しむかのように、
「からかわ・・・ない・・んッ・・で」
耳、首、鎖骨と唇が触れる。
『冗談で、してると思うの?』
長い指がゆっくりと私の唇をなぞる
私が口を開くより早くシンくんに塞がれてしまう
「んッ・・!!」
シンくん・・・私は────・・・
思い出さなきゃいけないのに、思い出せなくて
忘れなきゃいけないのに、忘れられないよ。
『へぇ───・・・案外いい暮らし、してるんだな。』
ずっと待ち望んだ声がした。
『っ・・・!?』
シンくんは慌てて声の主の方へ振り向く
「どう・・して・・・」
声も身体も震える。
『どうして?』
震える腕で身体を起こす
これは夢なのかな?シュウが居る
『が居ないとアイツ等が────・・・』
私の顔を覗き込みながら喋るシュウに、そっと触れる。
「シュウっ・・・!!」
夢でも幻でもないシュウだ。
『はぁ・・・。
泣くか笑うかどっちかにしろよ。』
言いながら私を抱き上げるシュウの瞳は、とても優しくみえた。
それが嬉しくて何度も頷いて、シュウにぎゅっと掴まった
『最悪。
アノ噂本当だったみたいだね』
そうだシンくん...!
シンくんはベッドで仰向けになり片手で顔を覆っていた。
何の話だろう?
『噂・・?』
『あぁ親父の事か。今は隠居してもらっている。』