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Abiding Love

第5章 Ⅴ



────手を伸ばした先には優しく微笑む蒼い瞳。
その綺麗な蒼色を独り占めしたくて両腕に抱き締め閉じ込める。
安心して腕を解けばソコには何も無かった。

「シュウっ・・・!!」

自分の声に驚き目を覚ます

身体を起こせば涙が頬を伝う。

自らの手が顔を覆うより先にシンくんの手が頬に触れる
『また・・・か』
掠れた声で優しく目尻を撫でられた。

寝てる私は、いつもシュウの名前を呼んでいるのかな?
「・・ごめんね。」
まだ少し寝惚けているような様子のシンくん。

『別に...。』
そう言いながら私を押し倒した

「シンくん!?」
「寝惚けて────。」

『オレはさ。』
私の胸元に顔を埋めながらシンくんは言う
『目を閉じる前にを見て、目を開けたらがいて・・・それだけでイイんだ』

「シンくん...。」

『それも叶わないなら』
顔を上げたシンくんの口には牙が覗く

『アイツらのコトなんて忘れてさせてやるよ。』

「やだ・・シンくんッ!!」
シンくんの牙が首に触れる

『そこまでだ シン。』
急に現れたカルラさんにシンくんが起き上がる。

「止めないでよ兄さん!」

『アイツらと同じところまで堕ちたいのか?』
『を汚す事は許さん。』

『・・・チッ。』
シンくんは舌打ちをして部屋を出て行ってしまった。

慌てて起き上がりシンくんの名前を呼ぶ
「シンくん!!」

『構わん放っておけ。』
慣れていると言わんばかりにカルラさんは落ち着いた様子で私の隣に腰をおろした。

「でも...」

『お前達は昔から変わらないな。』
『・・・。シンの言う通りだ。お前を汚した奴等の事など忘れろ。』

「汚されてなんてない。」

『逆巻の次男に薬でも飲まされたのではないだろうな?』
『何を言おうが・・逆巻の者とは口をきく事も許さん。』

「もし・・・」
喋ったら?

『私が誰だか忘れたのか?』

カルラさんはファースト・ブラッドの王。
お父様・・・いやカールハインツならまだしも、逆巻の兄弟達がカルラさんに敵うわけがない。

返事をしない私にカルラさんは言った

『理解しているならいい。』
優しく私の頭を撫でて去って行った。



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