第1章 Ⅰ
『・・。もう僕は、眠いです。』
「えー?」
時計を見れば、もう明け方ではないか
カナトくんとお菓子を作っていたんだけれど
『が味見ばかりするから、こんな時間になったんです・・・。』
「カナトくんだって一緒に食べてたから同罪だね。」
カナトくんは呆れたように私の顔を眺める
「予定では6人分だったのにね?」
どう見てもケーキは3つしかない。
私は散々味見したから要らないとして、カナトくんの分と、何故かレイジさんがとても食べたがっていたからレイジさんの分・・・後はスバルかな?
シュウは食べないし、アヤトとライトくんはこの前作ったマカロンを勝手に全部食べたからあげない。・・・絶対に。
「よし!じゃあコレはカナトくんの。どうぞ。」
カナトくんはケーキを受け取らずに、相変わらず私をじっと見つめている
「?」
ゆっくりとカナトくんが私の頬を撫でる
「カナトくん?」
頬を撫でた親指・・・いや、クリームのついた指をカナトくんは舐め上げた。
『本当には子供ですねぇ。』
「っ!!」
恥しさで顔が赤くなったのが自分で解った。
そんな私の様子にクスクスと笑いながら、いつの間にかケーキを手にしカナトくんは部屋へ帰って行った。
顔の熱が冷めやらぬまま私はレイジさんの部屋に向かう
「ん?」
途中シュウの部屋からレイジさんの気配がした。
ノックをするが意味を成さない程にドアをスグに開けた
「レイジさんいるー?」
辺りを見回すがレイジさんは居ない。
「おかしいな・・・。」
入れ違いかな?シュウが寝ているベッドに腰を下ろした
面倒くさそうに身体を起こすシュウ。
『ここはオレの部屋なんだけど何がおかしいんだ?』
「シュウ。レイジさん居なかった?」
『・・・さぁな。』
「又2人で内緒話してたんでしょー?」
私は座ったまま上半身を倒してシュウの脚を枕にした
『重い。』
と、言いながら欠伸をするシュウは優しい
やっぱりシュウは長男だからお父様からの伝言でもレイジさんに伝えていたのだろう。
眠そうなシュウの顔。あ、寝癖だ
その寝癖に手を伸ばして押え付けるが中々反抗期のようだ。そんな寝癖が可愛いくて笑ってしまう。
『髪で遊ぶな』