第6章 第4話 救えなかった命
何度彼女の名前を呼んでも返事がないため、家の中に入り、サラを探した。
彼女はきちんと家の中にいた。
ーーーーだけど、変わり果てた姿で…。
ナギサ
サラっっ⁇
タクヤ
サラ…?
彼女は死んでいた。首を吊って…。
タクヤ
サラ、何で…。
その場で泣き崩れるタクヤの後ろで
私も静かに涙を流した。
どうして彼女は死ななければいけなかったのか。私には分からなかった。
数日後、私の元に1通の手紙が届いた。
ーサラからだった。
『ナギサへ。
あなたが今この手紙を読んでいるというとは、私はもうこの世にはいないのね。私は、あなたに隠していたことがあった。それは私が元奴隷だったということ。思い出したくもない過去。見ず知らずの男達に犯される毎日。
そんな中、奴隷が解放されるという事件があった。命からがら逃げてきた中で、手を差し伸べてくれたのがタクヤだった。彼は、私の全部を受け入れてくれた。
私は、この町が大好き。だって大切な人や友達に出逢えたから。
初めてあなたを見たとき、あなたは私と同じ目をしていた。放っておけなかった。だけど、あなたはきちんと自分の心を持っている。そんなあなたが羨ましかった。だけど、私には蘇る嫌な記憶。私の心は私の悪によってどんどん蝕まれていく。このままだと私はあなた達を殺してしまう。