第7章 初任務-ただいまとおかえり。そして。-
ハッとした。
何を泣いているんだ。ウォーカーさんが困るに決まってる。
「ご、ごめんなさい。泣いたりなんかしちゃって。迷惑ですよね。ウォーカーさんの気持ちがわかったので嬉しか…きゃっ!」
不意にぎゅうっとウォーカーさんに抱き締められる。
今までにないほど力強く。
フラれたいまでも体温がぐん、と上がる。
止めようとした涙も、溢れ始めた。
「っ…。ごめんなさい…。ほんとに…ごめんなさい。僕が……弱いから…。ニナのこと…ほんとは…。」
私を抱き締める力が更に強くなる。
どうして、謝るの。
どうして、ウォーカーさんも泣きそうな声してるの。
どうして、好きでもない私のことをこんなにも強く抱き締めるの
どうして?好きじゃないなら……
「好きじゃないなら……。」
私は自分も気づかないくらいボソッと言った。
次の瞬間私は思いきりウォーカーさんを突き飛ばした。
がしゃん!と壁に椅子とウォーカーさんがぶつかる音がする。
「どうしてっ……。好きじゃないなら…どうしてっ…こんなにも…強く抱き締めるのっ……!?ねえなんで!?…っ、どうして…」
声も荒げまくって、顔も涙でぐちゃぐちゃで。
でもそんなことどうでもいいくらい、気持ちが高ぶっていた。
「ニナ…。あの、」
ウォーカーさんが立ち上がろうとして、なにかを言おうとしているのは見えた。でも。
「もうなんにも聞きたくないっ…。ウォーカーさんなんてっ…知らない!!!」
私はまだ荷解きが終わっていない鞄を持って部屋を飛び出した。
ひどい。ひどいよ。
好きじゃないなら…。あんな期待させるようなこと、しないでよ
私は部屋を飛び出した勢いで、教団までもを飛び出した。