第9章 第五話 幸せはそう長くは続かない
ラビさんは………一体何がしたかったのだろう……。
私がぽかんとラビさんの後ろ姿を見ていると
「……長期の、」
「え?」
アレンさんが何かを言っていたが、ぽかんとしていたのでよくわからなかった。
「…長期の、任務が入ったんです。」
「長期の……任務?」
私はなぜアレンさんが言うのに戸惑ったかわからない。長期の任務くらいエクソシストにとったら当たり前じゃないか。
私が首をかしげていると
「伯爵が本格的に動き出したんです。
ハートのイノセンスを探すために。
まず伯爵は元帥をしらみつぶしに殺すつもりだそうです。元帥は危険だから、と一回本部に戻ってくるようにと命令があったのですか……。」
「ですが?」
「かえってこない元帥も…いるんです…。僕の師匠も、帰ってこない元帥の一人で…。まずは師匠を探して、そこからノアや伯爵から師匠を守りながら本部につれ戻す……という…任務でして…。」
私は不思議と悲しくなかった。
確かにアレンさんと長い間会えないのは寂しい。
でも長期の任務だとしても、いつか、生きて、帰ってくるのならそれでいいと思ったのだ。
……それに、私がここでさみしがったらアレンさんは私のことを気にして任務どころじゃなくなってしまう。
アレンさんの負担にだけは、なりたくない。