第9章 第五話 幸せはそう長くは続かない
鏡に映るのは、紺の髪を束ねる黄色いリボンだった。
「もしかして…買ってきてくれたんですか?」
「はい、欲しそうにしてたし、ニナに絶対似合うと思って。」
アレンさんが最後に買ったものって…これだったんだ。
嬉しさで胸がいっぱいになる。
「本当に、ありがとうございます…。すごく嬉しいです。」
「喜んでもらえてなによりです。あ、僕コムイさんに呼ばれているので、そろそろ行きますね。」
「あっ、はい!!」
夜ご飯までに、終わってくれるかなぁ。
そんな長い話じゃなきゃ良いけど…。
「夕飯までには終わりますので心配しないでください。」
アレンさんはそう言ってぽんぽんと私の頭を撫でから部屋を出た。
……アレンさんってやっぱりすごい。
すごく、安心する。
アレンさんが出ていってすぐにまたノックが鳴った。
アレンさん、忘れ物でもしたのかなぁ?
「アレンさん?忘れ物でも………あっ、リナリー!!どうしたの?」
ドアを開けると、アレンさんではなくリナリーが立っていた。
「おじゃまします。」
と言ってリナリーが部屋に入ってきた。
「ふふ、ニナおめでと。」
リナリーのおめでとう、の意味はすぐに分かった。
「えへへ、ありがと。」