第9章 第五話 幸せはそう長くは続かない
「僕です。今…良いですか?」
声を聞いて急いでドアを開けて部屋にいれてあげる。
「あ、アレンさんどうしたんですか?」
「これ、多分…ニナのボタンだと思うんです。」
アレンさんが手に握っていたのはきっと私落としたであろうボタンだった。
丁寧に紐まで通してくれている。
「あ…ありがとうございます!」
「科学班が直してくれるはずなので、直してくれるまで肌身話さず持っていてください。」
「え?今すぐ直してくれないんですか?」
「科学班は今すごく忙しい見たいです。まあ…いつでも忙しそうにしていますが…。少し落ち着いてからの方がいいかと。」
「そうなんですね。分かりました。首から掛けておきます。」
私は紐を首に掛けた。
「あ、あと…。その、後ろ向いてくれませんか?」
「え?あ、は、はい。」
よくわからないままアレンさんに言われた通り後ろを向く。
アレンさんはさらり、と私の髪の毛を持ち上げ、櫛でときはじめた。
アレンさんが私の髪の毛に触れるたび心臓が大きく跳ね上がる。
「あ、あああの、あ、アレンさん!?な、何して…。」
「ああっ動かないでください!」
「はっ、はい!!」
アレンさんに言われ、ピタッと動きを止めた。
ドキドキし過ぎてアレンさんが何をしているのか分からなかった。
「出来ました。」
しばらくたってアレンさんの声にハッとした。
「え…?あれ、髪…。結んでくれたんですか?」
自分の髪を触ると、リボンでポニーテールに結われていることがわかった。
嬉しくなって鏡で見てみると
「え…。これ…。この蝶…。もしかして…。」