第8章 第四話 date
ウォーカーさんのその言葉を聞いて急に寂しくなる。
もう、帰らなきゃいけないんだ……。
楽しい時間は、あっという間に過ぎちゃう。時は、永遠に止まってくれないみたいだ。
私がそんなことを考えていると不意にきゅっと手を握られる。
「大丈夫です。帰る場所は、同じですよ。」
私が寂しがっているのを察したのか、ウォーカーさんが優しく微笑んで言ってくれた。
帰る場所は同じ
確かにそうだ。
帰っても、ウォーカーさんはちゃんと私の傍にいてくれる。
そう考えると、帰るのが嫌じゃなくなった。
「帰りましょうか。」
「はい。」
私は笑顔で頷いた。
ここからホームへは電車一本で帰れるそうなので、二人で駅に向かっているとあるものが目に入った。
それは、屋台で売られていた黄色のリボンだった。端にはキラキラと輝く蝶のモチーフの飾りが付いていた。
うわぁ……かわいい………。
そろそろ髪伸びてきたから結ぶためのリボン、欲しかったんだよなぁ…。
買おうかな……。でも……高そうだしやめとこうかなあ……。
そんなことをぐるぐる考えていると
「あれが欲しいんですか?」
といきなりウォーカーさんが私の欲しいリボンを指差しながら聞いてきた。
「えっ、あっ、いや、そんなこと…。」
欲しいけど、私が今ここで欲しいって言うとウォーカーさんは絶対買ってきてくれる。そんなこと…申し訳無さすぎる!!
「買ってきましょうか?」