第11章 俺と残りの5人

　見事奇跡的に先生たちには捕まらず、俺たちは急いで靴に履き替え、昇降口を出てからも少し走った。落ち着くところまできたところで俺は、

「はぁはぁ……もう……いないよな……さすがに……」

と息切れしつつ言う。さすがに疲れ、心臓の鼓動が激しい。ここまで全力疾走したのは久々かもしれない。松野ちゃんは、

「そうだね……てかおそ松くん……足速すぎなんだけど……」

と俺に掴まれた手首をかばいながら言う。その行為を見て、

「あっ、ごめんね……手首痛くなかった？」

と俺は心配に聞いた。松野ちゃんは、

「まあ大丈夫……だけどさすがだよね。あの状況で誰も逃げようだなんて思わないもん。それに兄弟置いてっちゃうんだし」

と松野ちゃんは笑いながら話す。

「だって松野ちゃん置いてくよりはよくない？　しかもあいつ……あっ、十四松は俺よりバカだし足はえーだろうし……大丈夫だろ」

と俺も笑いながら話す。

「あっ、そういえば作業途中だったけど大丈夫かな……」

と松野ちゃんは心配そうに話したが、

「まあ大丈夫だよね」

と後から付け足す。俺はその発言に驚いて、

「えっ、それ松野ちゃんが言っちゃうー？」

とツッコミをした。松野ちゃんは、

「だっておそ松くんならそう言うじゃん」

　少し悪笑みを浮かべていた。

（あっ、やっべー……松野ちゃん勘強い）

「さて、帰ろ帰ろー」

　松野ちゃんはそう言うと駅の方へと歩き出した。

「あっ、待ってよ！　俺駅まで送るから」

　時刻はあの時同様、6時を回っていた。やはり外はまだ少し暗い。なので駅まで送ろうとした。

（まさか松野ちゃんがねー……俺みたいになってきてる）

　そんなことを考えながら。