第6章 不幸の予兆
「まさか、真ちゃんがいるだなんて思いもしなかったなぁ…」
私は首に手をあてる。そこは丁度キスマークがついてる場所。
「俺、すげぇビックリしたッスよ…」
涼太は私に情けないでしょ?と言いながら笑う。
「情けない涼太君、そろそろ私の門限が近づいてるのですが…」
「なら、送るッス。彼氏だから…」
「あら?私は彼女になるって認めてませんけど?」
私はへらっと笑った。彼を馬鹿にしてるみたいに。
私達は再び歩き始める。
「…でも諦めないッスよ。遥っちの事、誰にも言わないし…俺、こう見えて口は堅いんスよ。」
涼太に言われても外見と性格上じゃ説得にならない。
「私が涼太にアノこと言ったのは、一番パニックにならなさそうだったから。私が病気になったところで君は悲しまないと思ったよ。沢山周りに女子がいるから。
でも…案外悲しんでくれるもんなんだね。」
私は本当に素直じゃないよね。ごめんね。
「遥っちは俺の中で一番大好きな女の子ッスから。」
「それ、他の女子にも言ってるんでしょ?お見通しだから。じゃ、またね。」
私はいつの間にか着いた家に入った。
涼太と話していると時間が凄く速くなる気がするんだ。
こういうのをもしかしたら『恋』っていうのかな。