第6章 不幸の予兆
涼太と馬鹿みたいな事をしていると、誰かが走ってくる音がする。
「こんな場所で何をやっているのだよ。」
真ちゃんが1人でジョギングをしていた。
「そっちこそ、何してんの?こんな時間に…」
公園の時計を目をやると8に針が指してあった。
「体力づくりなのだよ。」
真ちゃんはずれた眼鏡を元の位置に持ち上げて直す。
「お前らは何をしていたのだよ。」
真ちゃんが抜け目なく聞いてくる。
「1on1ッスよ。」
涼太が答えた。
「遥は急用ではなかったのか。」
「帰りに偶然にも会ってさ、ちょっと寄り道してたんだー」
これは本当の話。
「バスケしてるとつい時間を忘れちゃってこんな時間帯なの…」
これは嘘。私は自分の癖を注意しながら言った。
「そうか…ん?これは何なのだよ…」
私の首にできた赤い印を触られる。
「今日、虫に刺されちゃったみたいで…」
私は赤い印を抑えた。
「まぁ、いい…気をつけるのだよ。」
そう言って、真ちゃんはまたジョギングを再開した。
「キスマーク…」
俺は2人が見えなくなったぐらいのところで一人呟いた。
おそらく、黄瀬がつけたのであろう。理由はわからんが必要だったに違いない。
俺は複雑な気持ちでまたジョギングに集中をし始めた。