第6章 不幸の予兆
私は散々泣いた後、涼太におんぶをされている。
「ごめん…涼太。重たいでしょ?」
泣いたせいか少し鼻声になっている。
「雷の時以来ッスね…遥っちと2人っきりなのは。」
涼太も何故か少し鼻声になっている。
「あんなに泣いたり、怖がったりする遥っちを見られるなんて俺ってラッキーなんスね。」
涼太は少し戯けてみせる。
「涼太の運気、吸い取ってやろうか。」
私もちょっと戯けてみせた。
「吸い取ってよ…俺の全部。」
背後姿だけで今彼がどんな顔をしてるか見えないがきっと切なそうな顔をしてると思う。
「出来たら、とっくにやってる。」
私は涼太の黄色いサラサラの髪をクシャッと撫でる。
「俺、遥っちになら何でも捧げられるかも…」
涼太は私を降ろして、王子様(涼太)が足をついて私の手を取る。
「お姫様、どうか俺に全てを捧げてください。俺もお姫様に俺の全てを捧げます。」
「気が向いたらね。」
私は意地悪く、ニコッと笑って見せた。