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この灯火が消えるまで。【黒子のバスケ】

第6章 不幸の予兆


涼太が私の隣に腰を下ろし、私の手を握った。
自分より一回り大きな手に安心したのか、私の乱れていた心が落ち着きを取り戻した。

「わ、たし…病気なの…今の医学で治すのは難しい病気。
…わたし…後、11ヶ月しか生き、られないの…」
声が震えて相手に伝わったかわからない。
私は顔を上げて涼太の顔を見た。
「だから始めは皆と部活以外で話すこともしなかった。名前で呼ぶことも…それすら辛かったの。最期に苦しい思いをしちゃうから、みんなと過ごした楽しい時間を思い出しちゃうから。思い出が一瞬で消えてバスケが出来なくなって皆の事を忘れちゃうのよ?こんなに悲しくて辛い事、他にはないわ…」
自分の瞳から沢山の大粒の涙が流れ落ちる。
「っていう嘘よ。」
私は涼太にヘラッと笑って見せた。
私は最後の強がりをした。
涼太はいきなり私を抱き締める。
「強がらないで…嘘つかないで…もう、変なプライドなんていらない…遥はもう充分我慢した…」
私の頭を撫でる。
「俺達が悲しさを半分背負って、笑顔を分けて、楽しい時間を遥が忘れられないように沢山作ってあげる…
もう…我慢なんてしないで…」
私は涼太の首に顔を埋めて、疲れるまで泣いた。
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