第3章 部活以外は1人になりたい
「遥っち、ありがとうッス!」
ワンコは鞄から数学の教科書を取り出して、私に渡した。
「ありがとう。」
私は数学の教科書を鞄に入れる。
「そういや、ワンコは何で私に教科書借りたの?他の女子に借りれるでしょ?ワンコのうざかっこよさでなんとか出来たんじゃないの?」
「俺は何が何でも遥っちに借りたかったんスよ。」
「何それ、意味わかんない。」
私は微笑する。
「遥っちのこと…尊敬してるッスから。」
涼太が私の頭を撫でる。
尊敬か、どういう面でだろ。私はバニラシェイクを口に含む。
「涼太、私は…なんでもない。」
2人の間に微妙な空気が流れる。私はは残りのバニラシェイクを飲み干した。涼太も食べ終わったみたいだ。
「私、片付けてくるね?」
遥は食べ終わったものを捨てて、トレーを重ねた。
その頃涼太は、心の中が後悔と疑問で溢れかえっていた。
(なんで、あの時好きって言わなかったんだろ。自分に腹が立つ。あと、遥っちは何を言おうとしてたんだろう。まさか、遥っちは俺が好きなのか?それは自意識過剰ッス…)
「涼太、おい!ワンコ、帰るぞ!」
「待ってくださいッス!遥っち!」
涼太は遥を追って店を出て行った。