第1章 ひと言の勇気 _前篇_
_Sho side_
「さくらーい。
二次会こねぇのー?」
先輩が
酔っぱらいながら絡んでくる。
「いや…
そろそろ帰らないと仕事が…。」
「櫻井先輩のとこの生徒
結構複雑ですからねぇ。」
後輩の竹内が
苦笑いしながら
先輩をはがしてくれた。
「頑張れエセ金八ぃー。」
「こら、」
先輩の肩に拳を当て軽く叩き
タクシーを拾い
その中に詰め込むと竹内も乗り込み
帰ってしまった。
俺の家はここから近いから電車。
中に乗り込み
空いていたため席に座ると
あまりの眠気に意識が遠のいた。
「__さん!!
お客さん!!」
大きな声に慌てて起き上ると
相葉と書かれた名札をぶら下げる
駅長さんが優しく微笑んでいた。
「終電ですよ。
お店、あと一時間でしまっちゃいますよ。」
「お、お店?」
頭が混乱して考えていると
駅長さんは俺を立たせて
電車からおろした。
「酔っぱらってんのー?
TEARいくんでしょ?
ニノと波留ちゃんとこ。」
そう言われても
全く意味が解らない
しびれを切らしたのか
腕をがっちり組まれて
駅から出て、真っ赤なバラのアーチをくぐる。
「ついたよ。
TEAR。」
駅長…相葉さんは
俺の背中を押して
お店に勢いよく飛び込んでしまった。