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消えた水曜日

第4章 感情の行方 _前篇_


「僕の話はこれぐらいで。
 次は、あなたの話を聞かせてください。」



「わ、私ですか?」



そう聞くと
潤さんは微笑みながら
少し首を上下に振った。



そして、潤さんは
左手で車椅子のレバーを操作し
一人掛けのソファーの前に
車椅子を停止させた。




「ここに座って。
 貴方の物語を聞かせてください。」




ずいぶん洒落た言い回しだな。
そう思いながら
恐る恐るソファーに腰かけた。




「えっと、宇佐美波留です。
 ここの仕事以外で
 幼馴染と喫茶店をしてます。」




「素敵だね。
 幼馴染とは長いの?」



私を優しく微笑みながら見つめ
相槌を打ちながら
ちゃんと全てに興味を持ち
聞いてくれた。




「じゃあ、宇佐美さんは 
 その幼馴染さんが好きなんだね。」



「すきっ!?
 そんな、違いますよ!」



いきなりの発言に
思わず言葉がつまった。



和也に好意なんて
一度も持ったことがなかった。



「そんなに彼に尽くして
 案外相手は思いを寄せてるかも。」



潤さんは悪戯な笑みを浮かべ
それでも私の目を
しっかりと見つめていた。



その瞳に胸が高鳴って
目線を逸らしてしまった。




「照れたの?」



「違います!」



少し安心した。
初めて潤さんを見た時
言動や表情から
怖いイメージを持っていた。




「素直じゃないなぁ。」




そう言いながらクスクス笑う彼は
少しお茶目で
真面目な方なんだと感じた。
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