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消えた水曜日

第3章 ひと言の勇気 _後篇_



_Sho side_


「やっぱり、辞めてしまうのかい?」



「すいません。」



校長室に行き
ずっと持っていた辞表を
校長のデスクに差し出す。


校長先生は
大きなため息を一つ吐き
席をたち、窓の外を眺めた。



「この前、圭人くんが
 この学校を訪ねてきました。」



その言葉に
時が止まったよな気がした。
大きな置時計の時を刻む音が
そんな感覚をかき消した。



「もう、21歳ですか。
 そりゃ、私も櫻井先生も
 歳を取るはずだ。」



白い髭を撫でながら
こちらを向き
静かに微笑んだ。



「本当に
 この答えが正しいのか
 彼に聞いてみてはどうですか?」



一枚の紙を渡され
中を見ると連絡先が書かれていた。


「圭人くんが
 貴方に渡してくれと。」



その紙をポケットにしまい
校長先生に軽く頭を下げると
校長室を後にした。



「先輩!!」


リュックを背負い
長く感じる廊下を歩いていると
竹内が
鞄を持ち駆け寄って来た。


「今日は、付き合ってもらいますよ。」


「は?
 って、ちょっと竹内!!」



腕を掴まれ
全力で走り電車に乗り込む。
何処へ行くのか気になったが
真剣な表情に
聞き出すことができなかった。



「ココって…。」


着いた先は
あのお店だった。



「待ってましたよ。」



波留さんは
まるで俺が来るのを知っていたかのように
店の前に立っていた。


「今日は貸切ですよ。」


「貸切?」


波留さんは
たくらむように微笑みながら
店の扉を開けた。


そこには
和也さんがキッチンカウンターで
何かを作っていた。
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