第11章 紹
15時5分
家康像前
15時10分
人が引き始める
15時32分
朱里は来ない
15時34分
「遅れて、すみませんでした」
何故か、山崎が立っている。
「調査を頼まれて来たんですけど」
「何の調査でィ」
「沖田隊長が首輪と鎖を持ってないか調べてこいって」
15時45分
身体検査終了
腹が立ったので、山崎を一発殴る
15時50分
公園の北側から、朱里が歩いてくる
「異常ありませんでした!」
朱里に敬礼する山崎に、飛び蹴りを食らわせる
16時00分
山崎をボコボコにした
待ち合わせをする人間で賑わっているが
そのまま放置することにする
「随分、待たせるじゃないですかィ」
「行かないって言った」
俺の言葉に、当然の反論をする朱里は。
年相応の着物を着て。
左手に、手提げの袋を持っている。
「お土産を……取りに帰ってただけ」
本当は来たくなかったと悪態をついて。
「届けたら、帰ります」
と、視線を落とした。
普段との違いは。
服の色形と、得物を持たない無防備な姿。
メガネのない素顔。
『他の隊士には見せるな』と、近藤さんに言われたことは知ってるが。
「旦那には、晒してんのか」