第9章 秘
年に数回の逢瀬は。
週に一度だったり。
数ヵ月に一度だったり。
同じ空間で一緒に眠るだけの。
曖昧で、残酷な関係。
年の離れた若い女と。
同じ布団で眠る行為が。
美味しいモノなのか。
苦行なのか。
………間違いなく拷問だね、コレ。
それでも、やっと慣れてきた。
腰に回った腕も。
後ろからの腕枕も。
髪に顔埋められんのも。
穏やかな寝息も。
その体温も。
苦行の先の悟り開いた、みたいな。
今日も、俺の後ろで寝てるキミは。
やっぱり、穏やかな寝息をたてて。
俺の背中に胸を寄せて。
ケダモノが抱き枕でもお構い無しだ。
「食っちまうぞ、コノヤロー」
暗闇に吸い込まれる声は虚しく。
俺の心まで虚しくなる。
ゆっくり知ればいいと思ってたけど。
お前の汚い部分は、いつになったら見れるわけ?
身形も小綺麗だもんな。
最初から、汚い部分なんてなかった?
正直、気が長い方じゃないんだわ。
実際、待ち草臥れたんだわ。
そろそろ、肚の底が見えても。
いいんじゃないかと、俺は思うワケで。
味も色気もないこの関係が。
やっぱり、生殺しなワケで。