第8章 再
その日の夕方。
僕らは四人で夕飯を食べた。
皆で仲良く、テーブルを囲んで。
迷惑をかけたお礼にと作ってくれたハンバーグ。
とても、美味しかった。
「朱里、また遊びに来るヨロシ」
「約束ですよ」
僕と神楽ちゃんは、そう告げて。
「用事があるときは、駅の伝言板によォ、XYZって忘れずに、」
「それ、シティー○ンターだろーがァァァ!」
「小洒落たジョークだろ?」
「伝わり難いよ」
「まぁ、何だ。また、連絡寄越せよ。待ってるから」
今度の別れ際は。
前回みたいな重い空気がなくて。
「服、洗って返しにきます」
そう言って、階段の下で振り向いて。
「ありがとう」
と、笑顔で手を振ってから朱里さんは帰路に着いた。
僕らは、やっと胸の痞が取れて。
久しぶりに笑い合って。
それからは。
朱里さんが遊びに来る日を、心待ちにするようになって。
来てくれた日には、最高の持て成しをしたがって。
迷惑掛けることも、屡々だった。
たとえ、365日の内の数日でも。
一緒に過ごせる時間は充実してて。
ちょっとした朱里さんの荷物。
着替えとか、歯ブラシとか。
増えていくことに、違和感がなかったんだ。
食事のときの、座る場所とか。
寝るときの、場所の取り合いも。
年に数回の、恒例行事みたいになって。
距離がどんどん近づいて。
僕らはいつの間にか。
朱里さんのことが大好きになってしまったんだ。