第7章 眠
肩が触れる。
一組の布団に、男と女。
「狭くね?」
密着しないように、離れてはいるけど。
俺、右肩が布団からはみ出してんだけど。
「もう一組、敷く?」
俺の呟きに、左で首を振る音。
まぁ、そうだよな。
添い寝の意味、なくなるもんな。
いっそ、密着しちゃう?
抱き枕だもん。
何もしないからさ。
抱きついてくれてもいいし?
「………」
暫くの沈黙があって。
それが数分なのか。
数十分なのか。
数時間なのか。
目を閉じて、刻が過ぎるのをひたすら待つ。
意を決して首だけ左に向けると。
スースーと寝息が聞こえた。
やっぱ、緊張してんのは俺だけか。
安心しきった寝顔に。
俺だけがドギマギしてたこと自体、阿呆みたいで。
ひとつ、息を吐いて。
「いい夢見ろよ」
一声掛けて目を閉じる。
これで気にせず、楽な姿勢をとれそうだ。
「!?」
妙な圧迫感で目を覚ます。
月明かりを頼りに視線をさ迷わせて。
巡りつくは、自分の腹にある細い腕。
ちょ、力抜けェェェ。
苦しくないけど。
お前、密着し過ぎだろーがァァァ!
背中。
何か当たってんぞ、オイィィィ!
頼む。
もっと危機感持ってくれ。
「……生殺しじゃねーか、コレ」
こんな状況で。
眠れるワケあるかァァァ!