第4章 生業
最近、ご無沙汰だとしても。
家に呼ぶのは駄目でしょう?
年頃の女の子がひとつ屋根の下に住んでるんだから。
ここはかぶき町で。
遠くはない場所に、吉原だってある。
自宅兼職場にデリヘル嬢って。
黒い警察のコスプレさせるって。
アンタ、どんだけ腐ってるんだァァァ!
「あの…昨晩、依頼を引き受けて頂いて、その報酬を支払いたいのですが。まだ、寝てらっしゃるので」
え、何?
こっちが受け取る側?
「たぶん、これで足りるかと」
そのとき、朱里さんは。
僕の手に、弐萬と百伍拾円を置いて。
「ありがとうございました。依頼料と、いちご牛乳を頂いた代金です。足りないようでしたら、真選組屯所まで御足労願います」
そう言って、出て行った。
アレ、本物の黒い警察の服じゃんんんんん!
「ちょっと、銀さん!起きてください!」
ソファを見下ろして、声を上げる。
「うるせーな、朝っぱらから何の用だ…」
むにゃむにゃ言いながら、また寝息が聞こえ始める。
「くだらねェ話だったら、殺すよ?」
寝言でとんでもねぇこと言ったァァァ!
それ、寝言?
本当に寝言?
夢だと思ったとか言って、人間一人、この世から抹殺しようとしてるよ。
「今、女の子から報酬を受け取りました…誰ですか、アレ」
僕は焦りを覚えて、矢継ぎ早に捲し立てる。
銀さんは寝ぼけ眼で。
「…知らね」