第4章 生業
依頼内容は。
『布団で眠りたい』
というもので。
流石の銀さんも拍子抜けしたとか。
「添い寝は必要ですか、お客様?」
真面目に聞いたら、
「お気持ちだけで、結構です」
やんわり断られたと。
銀さん的には『カウンター食らったみたいな威力』があったらしい。
添い寝を断られたことが?
見ず知らずのオッサンに添い寝頼む女子なんていねェェェ!
「じゃぁ、お布団敷きますね」
お客様には比較的丁寧な銀さん。
何を血迷ったか、予備の布団ではなく。
自分の布団を敷いて。
「ゆっくりお休みください」
和室にお客様を御案内。
足元ふらふらの酔っ払いでも、接客できるんだ。
「ありがとうございます」
朱里さんも、依頼を引き受けて貰ったことから。
布団に染み付いた加齢臭を気にすることなく就寝。
銀さんは、慣れた様子でソファにて就寝。
で、朝がきて。
僕が、万事屋に出勤。
その日は、7時に依頼人を訪ねる約束で。
いつもより2時間半も早い、6時に玄関を開けた。
というか、開けようとした。
手を掛ける前に引き戸が開いて。
「おはようございます」
知らない女性…女の子が出てきた。
ナニコレ、ヤダコレ。
運命の出会いィィィ?
と思ったのに。
「報酬はどうしたら…」
報酬って何!?
君は………デリヘル嬢ですか?