第30章 探
分を弁える。
そういう言葉、聞いたことねェの?
そうそう、出過ぎた真似すんなって意味。
知らねェなら、教えてやらァ。
「てめェ等、四人集まりゃ何とかって思ってんの?」
お妙はニコニコと笑みを称えたまま、言い放つ。
「最近新ちゃんが猫の話ばかりしていて困っているの私の弟に猫の世話をさせて銀さんはパチンコに行っているって言うじゃないおかしいわよねでも新ちゃんは猫の悪口を言わないの綺麗綺麗って言うばかりでだからどれだけ綺麗な雌猫か一目見てやろうと思って」
おーい、息継ぎ忘れてんぞ。
つーか、新八が猫を綺麗だって褒めちぎってんのは、俺が悪いんじゃなくね?
新八が勝手に惚れ込んでるだけじゃね?
俺と猫が悪いみたいな言い方、やめてくんない?
お宅の弟が悪いんじゃね?
「私もその『綺麗』な猫が是非見たいわ銀さんの寵愛を一手に受けてるってことでしょう一緒にご飯食べてお風呂やトイレに入って一緒の布団で寝るんでしょう私だってできることならしたいわよあーんなことやこーんなことしたいに決まってるじゃなーい」
おーい、息継ぎ忘れてんぞ。
言っておくが。
てめェと違って、猫はトイレまで追っかけてこねェからな。
ストーカーみてェな真似、しねェからな。
知らねェの?
猫って結構気まぐれなんだぜ。
毎晩一緒に寝てくれるとは限らねェ。
「僕は…お妙ちゃんが気にしていたから…同伴してきただけだ。猫は好きだから、もし迷惑じゃなければ撫でさせてもらえないだろうか」
息継ぎしてるけど、何だ?
顔赤くして、何だ?
猫好き、隠してましたってか?
万事屋に同伴?
稼ぎになんのか?
「わっちは…たまたま会っただけで、成り行きじゃ」
百華の頭が何やってんだァァァ?
何でいい人?
何で人気投票のときも。
今も。
てめェは流されてんだァァァ。
「お前ら、マジで帰ってくんない?」