第28章 常
銭湯までの道程で。
散々冷やかされて。
楽しそうな笑い声に。
また顔が熱くなる。
数歩先を歩く、新八と神楽。
肩を並べる朱里ちゃんの手を握って。
ぶらぶらと、その後に続く。
「顔、赤いです」
そう言う朱里ちゃんも、頬が染まってる。
後先考えず、祝言上げちゃう?って思ったこともあったけど。
女のコにとって、プロポーズって、もっと理想があんだろ?
あれ、素で出ちゃっただけで。
巻き戻しできないのは、重々承知だけど。
ちゃんと言うから、それまで待ってて。
銀さん、男を見せるから。
長いようで短い距離を。
もっと密着して歩きたいのを我慢して。
俺の家族みたいな奴等に。
正々堂々、恋仲を宣言して。
こうして、寄り添ってんだから。
「銀ちゃん、朱里、イチャイチャしないで早く歩くアル!コーヒー牛乳、売り切れ御免ヨ」
「コレ、イチャイチャ?」
「……神楽ちゃん的には、そうなのかも」
振り向いた神楽が戻って来て、俺たちの背中を押す。
「売り切れてないから、大丈夫だよ」
そう言いながら、新八も立ち止まって。
俺たちを、その場で待っている。
「背中、洗いっこするネ。銀ちゃんと新八もするヨロシ」
「しますか?銀さん」
「自分で洗うわ」
「拗ねんなヨ、銀ちゃん」
「拗ねてねーよ」
俺は、朱里ちゃんの全部を堪能したから。
羨ましくても、我慢するわ。
つーか、俺だって一緒に風呂入りてェんだよ。