第28章 常
クリームが添えられた、小さなパンケーキ。
食器を片付けたテーブルに、皿が並ぶ。
綺麗に飾られた苺。
今日買った材料に、こんな食材あったっけ?
「まだ、食べられますか?」
デザートは別腹。
全然食べれる。
俺も、新八も、神楽も。
「私、まだまだ食べれるネ。もっともっと食べたいアル」
その言葉で、また小さな争いが生まれて。
俺たちは、誰が一番パンケーキを沢山食べられるかを競い合う。
朱里ちゃんに、何度もパンケーキを焼かせて。
無駄な労力を使わせた。
朱里ちゃん特製。
それだけで、価値がある。
絶対負けるわけにはいかないと。
奮戦虚しく、材料切れ。
「私の勝ちアル」
神楽の四次元ポケットに、一歩及ばず。
パンケーキ争奪戦が、終了。
「片付けて、銭湯行きましょうか」
新八の言葉に頷いて。
食べ過ぎた感満載の、腹を撫でる。
「ごちそうさん。すげェ美味かった」
皿を持って立ち上がって。
空いた掌で、朱里ちゃんの頭を一撫で。
目を細めた顔が可愛くて。
「本当、家の子になっちゃえばいーのに」
俺の言葉に驚いた朱里ちゃん。
その後ろで。
更に驚いた顔の、新八と神楽。
「銀ちゃん、それプロポーズ?」
暫しの沈黙の後。
神楽の声で我に返って。
手で顔を覆って、宙を仰ぐ。
超恥ずかしいんですけどォォォ。