第28章 常
食卓を囲むという言葉通りに。
テーブルに出来立ての料理を並べて。
四人揃って、手を合わせる。
今日の出来事を報告し合って。
弾む会話。
横取りする、おかず。
負けじと掬う、茶碗蒸し。
「おかわりアル」
「僕も」
「俺も」
茶碗を差し出す手に。
楽しそうに、クスクス笑う朱里ちゃん。
「一番は神楽ちゃん」
神楽の茶碗を受け取って、ご飯をよそう。
「二番は新八くん」
次に、新八の茶碗に。
「最後に坂田さん」
続いて、俺の茶碗を。
「たくさん食べてね」
そう言って、また笑って。
俺たちが食べる様を、嬉しそうに見ている。
暫く、そうしてから。
「ごちそうさまでした」
一足先に失礼しますと言って、立ち上がった。
向こうから、洗い物の音がする。
俺は箸を置いて、その後を追った。
「片付けは、俺たちがするから、座ってていいよ?」
背中に声を掛ければ。
手を休めずに、振り向いて。
「デザートの準備をするから。向こうで、待っててください」
また、楽しそうな笑み。
料理ももてなしも、性分なのか。
「俺のは、とびっきり甘く頼むな」
何を作ってくれるのかも、知らないのに。