第28章 常
決して広くはない台所に、並んで立つ。
時折触れる肩に、心地好い距離感。
俺が切った玉葱を、その横で丁寧に炒めてる。
「何か手伝いましょうか?」
顔を覗かせた新八に、玉葱を託して。
丁度良く帰ってきた、神楽を出迎えに向かう姿を目で追った。
「過保護は銀さん譲りですからね」
飴色になってきた玉葱を見ながら、新八が言う。
「アンタには敵いませんけど」
それ以降は、只々フライパンを凝視して。
ひたすらに、玉葱が焦げないように炒めてる。
口元笑ってんの、俺の気のせい?
「銀ちゃん、新八、ただいまヨ」
ひょっこりと顔を覗かせた神楽。
その後ろに、朱里ちゃん。
「美味しく食べるために、定春と一杯遊んできたアル。お腹と背中がくっつきそうヨ」
満面の笑みを見せた後、手伝うと言って聞かない。
うがい手洗いが先だと促して、再度の役割分担。
広くない台所に、四人集まって。
仕事の取り合いをする俺たちを見て、朱里ちゃんが笑う。
「賑やかで、楽しいです」
そう言ってから、てきぱきと仕事を割り振って。
目標設定、19時の夕飯に向けて動き出す。
……何で、俺、風呂掃除?
銭湯行くんだからさ。
しかも、夕飯と関係ねェし。